水槽のライフステージ別のコケ対策

コケ対策 2つの方向性 では、私は、引くより足す派、水草の成長を促すことでコケを避けるとは書きましたが、それはあくまでも基本的な考え方で、いつでもそれでいけるわけではありません。

水槽のライフステージによっては、積極的にコケの原因を引いていかないと、コケだらけになってしまうということはあります。

 

セット初期であれば...

セット初期は、ソイルからの初期の養分溶出がかなりある、水草が充分に茂っていない、バクテリアが十二分な量存在しないのでバランスを崩しやすい...などの理由で、コケに見舞われやすいわけですが、基本的な対処は水換えの頻度を上げることです。

もちろん、水換えをするほどにバクテリアは影響を受けてしまうわけで、水槽の早期安定を優先するなら水換えのしすぎは良くないわけですけど、ソイルからどんどん溶出してくる栄養分を出してしまわないことにはコケ対策は進まないのでやるしかないですね。

2-3日に1回くらいで、少なめの換水を繰り返すとか。

エサの投入量も魚が弱らない程度にギリギリ少なく押さえるとか。

これがイヤなら、セット前にソイルを充分に水に晒しておいて、最初に溶出しやすい分の栄養を出しきっちゃってから、水槽をセットするという方法もあります。

それととにかく大量の生物兵器を投入して食わせちゃってしのぐってのも手ですね。初期に出るのは、殆ど珪藻緑藻ですから。

もっと確実な方法は、とにかく成長力のある有茎草をこれでもか!ってくらい大量に植えておくことですね。ソイルから溶出する栄養分を全部使いきってもらう。

もう毎週毎週トリミングになりますけど。

 

最初期に出やすいコケは、珪藻、緑藻、黒ヒゲ...殆どなんでもありですね。

この時期の緑藻や黒ヒゲは、養分管理が出来ればスグに消えます。

珪藻は、数週間〜1ヶ月半くらいは出まくるけど、水槽が安定してくると全く出なくなります。

 

セットから半年以内であれば...

ソイルがリンを吸着する力は強力で、ソイルを使った水槽だと最初のうちはリン不足になることもあります。

またカリウムは溶出しやすいので、さっさと使われ・また水換えなどで排出されてしまうことが多くなります。

リンとカリが少なめで栄養のバランスの悪く、有茎草などの成長が止まり始めてきた状態で、エサを投入し続けると、水草が水中の栄養を上手く使い切れず、特に窒素が過剰になる...これによって緑藻類が蔓延ることが多くなります。

この時期のコケは、水草の成長の様子を見つつ、まずはカリを添加し、さらには状況によって底床肥料を積極的に入れるなど、肥料分のバランスを取りなおして、有茎草などの成長力を取り戻すことで回避できる場合が多いと思います。

また久々に計ると、意外にpHがあがってしまっていたりするのもこの時期です。ソイルがpHを低く押さえる効果は早ければ最初の数ヶ月で切れ始めますから。こういう場合はピートモスなどを使って弱酸性を維持することで、多くの水草よりもH2CO3の使用効率が高いコケに対して比較的有利な環境を維持できます。

 

水槽が完全に安定してから以降〜末期であれば...

ソイルの吸着力が落ちてきて、残餌や枯葉の分解物が蓄積し、さらにソイルの泥化なども始まると、ソイルが捉えていた栄養分の再溶出などが始まって水が養分過剰になってきます。

ソイルの泥化で、有茎草などの根の状態が悪くなって、水草が成長力を落とし始めることも問題です。
底床やフィルターの掃除、底床面に穴を開けて底床の通水性を確保しつつ泥を吸い出す、足しソイル、黒ヒゲが酷ければリンの吸着剤などを使う...といった対処を必要に応じて行います。

 

この時期も水草の成長度合いを見ながら必要に応じて積極的に施肥を行い、栄養のバランスを取って水草の成長を維持することが重要です。特に水草の成長力を維持していればカリは常に不足しがちになるはずです。