施肥についての基本的な考え方

以下のブログ記事を転載したものでは、いろいろとグチャグチャと書いていますが、要点は...

  • とかく嫌われ者の窒素もとても大事。
  • 液肥は難しい。
  • 底床肥料を重視したい。

これだけです。

それから、「液肥に頼っていては解決できないことが多い」と言いたいがばかりに、窒素主体の底床肥料の重要性を強調していますが、強調しすぎだったかもしれません。

カリが重要じゃないってわけじゃないです。

エサなどで外からほとんど供給されない・換水などで逃げやすいカリは、もちろん当然とても重要です。

大量の水草が茂る水槽だと、どんな底床環境をつくったかにもよりますが、大抵は新規立ちあげから数ヶ月...早ければ1ヶ月もすればソイルの栄養も切れ始めてきて、まずはカリ添加は必要になりますし、スグに窒素も足りなくなってきます。

 

これは、あくまでも陽性の水草が大量に茂り・高成長させている水槽...高回転型の水槽でのことであって、そうでない場合は、窒素はエサからの供給で十分で、むしろ余ってしまう...いかに水槽外に排出するかのほうが問題になるでしょう。

このあたりはくれぐれも勘違いしないようにして下さい。

 

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追記。

 

かなり以前に書いたものは、底床肥料を重視していて液肥を嫌っていますけど、底床供給器を使うようになってからは液肥ばかり使っています。窒素を含む液肥を一度底床最奥に入れているので根本的な考え方は変わっていないのですけどね。
固形肥料を底床に入れる時にどうしてもソイルが痛むので、それを避けるためです。

 

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 ブログ記事(2013.3.22)を転載。

 

 

施肥

肥料関連の検索ワードで来る人がけっこういるので、ちょっとは応えてみようということで書いてみます。

でも、肥料について、誰かに「こうすべき!」なんて言えるほどの知識も経験もないです。
もちろん、必須元素それぞれがどう取り込まれて何に使われているかとかは、そこそこ調べてみたつもりだし、施肥のパターンも水槽関連だけじゃなくて園芸関連のものもけっこう見てみたつもり。水草ごとの栄養要求や取り方の特徴とかもね。
でも、それがそれほど直接、現実的なノウハウになるわけでもない。
いろいろ考えてみるネタになるってだけ。

だからこれは、施肥について、私は少なくとも今現在は、こういう考え方、こういう方針でやってますっていう、以前に書いてる管理方針の補足みたいなものにしかならないですね。

以下すべてあくまでも大前提として、
「ウチのような魚も少なめで高回転型の管理の場合では」
っていう但し書き付きで、他の管理方針のもとにある水槽ではまったく役に立たないどころか、表層的に受け取ったら大失敗に繋がる可能性が高いです。
さらに私自身が考え方をどんどん変えていってしまう可能性もあります。
この1年半くらいで随分と考え方変え続けてきましたから。...成長期なもので。w
なので、「お前が言ってるとおりにやってたら、このザマだ。どうしてくれるんだ!責任取れ!」って言われても一切責任取れませんから。自己責任でお願いします。...水槽環境は複雑系だから当然なのだけどね。

その上で、要点だけ並べると、

1.水草が活発に育てばコケはコントロール可能な範囲に抑えられる。
まず貧栄養にしようという考えが先にたっての肥料少なめというアプローチは逆効果なんじゃないのか?

2.一部の水草を除いて殆どのアクアリウムで使う水草は、根からの養分吸収が圧倒的に大きいはず。だから底床内が大事。
ついでに、液肥はあまりに難しい&管理の手間が掛かるので出来るだけ使わない。基本的には、遅効性・緩効性の底床肥料だけ使う。

3.窒素・リンは敵って感じで毛嫌いしちゃダメ。常に窒素不足を心配したほうが良いくらい。


って感じです。

ネット上とかには、「窒素やリンは、エサから供給される。だから、これらは常に過剰になる。カリウムは外から供給されない。だから極論すればカリウムだけやってればいい。」みたいな考え方が大勢を占めてたりしますよね。
それを間違っているとは言わないけど、少なくともウチには当てはまらない。

例えば、NO3の検出量なんて常に極微量ですよ。
…もちろん水換えしているってのもあるし、魚の数の少なさ・給餌量が少なめなのもあるけど、でも全然あげてないわけじゃない。冷凍アカムシとか冷凍ミジンコとかもけっこうあげてるしね。

最初から大量の水草を放り込んだ今の60水槽の立ち上げの時は、NO2測り続けてたけど検出できなかった。

それから、外部フィルターの中をいじって掃除するのと、ちょっと多めのトリミングだったら、トリミングの方が明らかに生体へのダメージが大きい。エビが死ぬとかは必ずトリミングの後。フィルターいじった後じゃない。

そんなこんなを考え合わせると、水草の多くがいちばん大好きなアンモニウムの時点で、水草がかなりの量を吸っちゃってるんじゃないのか?

だとしたら(だとしたら、外部フィルターは何のためにあるんだって話は置いておいて…もちろん重要で必要なのだけど、水草の量がある程度以上多いとろ過について役割分担している割合は大幅に少なくなる)、
本当に窒素は「過剰」なのか?ですよ。

次に、水草はそんなに言われているほど、葉から養分を吸収するのか?ってことだけど、
もちろん、液肥は明らかに効くし、さっきの水草が水中に溶け出すアンモニウム吸っちゃうっていうことも、根じゃなくて、葉からけっこう吸収しているっていう前提に立たなきゃおかしい訳だけど、
でも、そもそもアクアリウムで使っている水草の多くは、本来は抽水植物ですよ。「陸上」に生えているのが基本で、水中にも適応できるっていうヤツ。
ウキクサとか、浮遊性のとか、モスやシダは別にすれば、根からの吸収の方が遥かに重要なハズです。どれもあれだけの根張りをするのだからね。彼らの生息圏を想像してみればいい。
中でも特に、根張りがすごいサジタリアやブリクサやクリプトの系統とかは、根に施肥しないと…窒素分入れてやらないと、もう絶対に元気に育たないですよね。「そんなことない!」っていう人は、きっとそもそも養分豊富なソイルを使ってるハズです。
グロッソとかだってそうですよね。
つまり、「元気に育つ」ための基本は底床内にあって、元気に育っていれば、水中の養分もそれだけ吸うってことだと考えています。
...違うな。
そういう考え方に立ったアプローチのほうが、単純に水中の栄養分への依存を減らせる。=コケを抑制しやすい。
ってことですね。
例えば、液肥で水草を育てられないということではない。

そもそも液肥は、恐ろしく使いにくい。
添加した時点では、常に水中の養分は過剰にならざるを得ない。
それを出来るだけ避けようと思ったら、できるだけ小分けにして頻繁にあげなきゃならない。
その時に適切な量なんて、簡単には分かりようがないのに?
無理です。無理。
どうしてもっていう時に、緊急避難的に使う以外では考えられない。
それに液肥は、水質への影響が大きすぎる。液肥の殆どは当然カリウム主体だけど、ってことはつまり急にpHを上げてしまう。それ以前に急に浸透圧が変化してしまう。
そうするとまずエビやバクテリア等に影響が出やすい。
コケが出ないのじゃなくて、エビが食べれるくらいの・簡単に掃除できるくらいの緑藻がでているってことだし、水草があればバクテリアが必要ないと言うことではない。
そのどちらにも影響が大きい液肥なんて怖いじゃないですか。

そんなこんなを考えあわせたら、結論はひとつで、底床内にたっぷり養分を仕込んでおくべきなんですよ。
もちろん、嫌われがちな窒素分も。
それも、できるだけ水中への溶出がゆっくり進む形で。あるいは根が触れなきゃ出てこない形態のもので。つまり緩効性・遅効性のものをですね。
もちろん養分豊富なソイルを使うなら、最初は何も特に施肥は要らないのですけどね。…っていうか初期に表層部からいっきに大量に溶け出す栄養分を排出することを考えなきゃいけないくらいだけど。

養分豊富なソイルを使っている時に、水草がその養分を使っちゃわないうちは、施肥なんて要らないわけですけど、そうじゃない時は、ソイルの栄養が切れてきてからは、まず底床内に施肥すべきだと思うんです。

ならば、実際にどう施肥しているかですが、長くなりすぎちゃったんで、またそのうちに気が向いたら書いてみます。...結局のところ、かなり感覚的な判断でしかなくて意味がある書き方が出来るかどうかもどうかも自信ないし。

結局何を使ってるかっていう点では簡単で、私の場合は窒素やリンを含むバランス肥料としてアクアフローラ(おこし)メインで、あとはカリウム主体のものとしてイニシャルスティック、しか主に使わないのだけど、使い方ってあるじゃないですか。それを書くのはけっこう面倒な気がしてきたので。…それにだいたい私自身が確信をもって使えているわけでもないし。
それと後は、それでも足りないミネラルとかの微量元素供給が必要ならどうするのかですよね。もちろん前述の肥料にも微量元素は含まれているんだけど。

あと、最初の根張りって点では、リンもかなり重要なハズですね。
この点で、水草一番サンドに添加されている熔リン酸は素晴らしい。
水草の根が触れて根が出す酸で溶かし出さなきゃ水中に溶出しないのだから。水草が必要な分だけしか供給されない。
グロッソがランナーをソイルに沈ませるくらいの感じで伸びていくのは、こいつのおかげだと思ってます。
根張りが悪い状況で…嫌気化しやすい状況で、底床内が栄養だらけだったら、結果はサイアクですからね。
実際、水中に溶け出す栄養素として問題になるのは、実は窒素よりリンの方が大きいのじゃないかな?
構造的にフレーク飼料はリンを溶出させやすいらしいし。
窒素に反応しやすい緑藻で悩むのとリンに反応しやすいと言われる黒ヒゲで悩むのなら黒ヒゲの方が問題は深刻になりやすいし。

鉄(キレート鉄)の決定的な重要性については、ますます注目されて言うまでもないわけですが、鉄が充分に含まれているはずのソイル環境で本当にそんなに添加する必要があるのかな??とは思ってます。と、言いながらメネデール使ってるんですけど。
まず分かりやすい鉄欠乏症状(成長点の黄化白化とか)見たことないし、鉄過剰はリンやカリの吸収阻害に繋がるし。
きっと腐植酸の供給源(ピートモス)とか充分に入ってれば、それで大丈夫なんじゃないかとか思ってます。…でも、なんとなくメネデール使うのだけど。ww
自然環境の中で鉄不足の環境の改善に実際に行われているのは、例えば、鉄と腐葉土を一緒に沈めるなんてことですよね。それでスゴイ成果を上げてたりするし。
ちなみにキレート鉄の自作の方法としては、使い古しのホッカイロの中身(鉄と炭素)とクエン酸と水で、簡単にできるってのはよく知られてますよね。めんどくさいからやらないけど。

あーそうだ。水中の窒素などを測るのにいちばん良い方法は、マツモを入れておく(レイアウト上邪魔なら適当などこか背の高い水草の裏にでも短く切ったマツモを置いておくとか)のが、試薬で測定したりするよりも確実だと思います。
マツモとかウキクサとかの根張りしない。完全に底床から切り離されて生活できる水草がそれだけやたらと元気に育つようならあきらかに水中の窒素が過剰。
そういう水槽では、今回書いたようなことは当てはまらないです。
窒素肥料添加なんてもってのほかで、水換えで排出しつつ、カリとか積極的に入れてバランス取らなきゃですね。
っていうか、もっとわかりやすく緑藻が多めなら、水中の窒素過剰ですね。
あーそれと、私としては指標となる水草としては、ハイグロフィラ・ポリスペルマも重要です。
こいつが、根のあたりに窒素系肥料を埋めたわけでもないのに、やたらと成長が速いとしたら、水中の窒素分過剰状態を疑います。

ちなみにミネラルが適切かどうかは、パールグラス系の状態を見ますね。
ところでこれはメネデールの効果以上に本当に「気がするだけ」なのだけど、
エクスタミン使ってしばらくすると、キューバとかの調子が少し良くなるような気がしてしょーがないんですよね。もちろん直接掛けちゃうと枯れちゃうんですけどね。かなり強い酸だから当然だけど。
でも、周辺で使って少しすると調子が良くなってるような...だって、成分が、マグネシウム、鉄、カルシウム他ですからね~。
まーもしもそういう効果が本当にあったとしても肥料として使うには高すぎますけど。

でも、こういった「状態を読む」ってことについては、本当にまだまだ自信がない部分が多いです。
経験不足ですね。

施肥って、ほんと奥が深いよね。

植物の生理の基本や種別の要求の傾向とかはもちろん、化学もけっこう分かってないと、リクツが把握できなかったりする。(化学のお勉強なんてちゃんとやったことがないので理解するのに苦労します)
pH,硬度で肥料の効き方が変わってくるし。
CO2や換水も炭素やミネラルの供給っていう点では施肥と言えるし、
もちろん本当はさらにバクテリアや菌類やミクロサイズの動物も含めた生態系全体を理解すべきだし。硝化バクテリアは重要だけど、やっぱりごく一部でしかない。底床内に緩効性の肥料を仕込むということは、化学的なこともあるけど、バクテリアの分解、菌類のサポートなどによってちょっとずつ溶出してくるってことだったりもするので。
でも、リクツがわかれば良いかっていうと…いやほんと全然把握しきれないのだけど、もちろん実際にこの水槽でこのタイミングで何をどのくらい使えばいいかなんて答えは導き出しようがない。
ある程度分かるのは、アプローチの方向性を間違えないようにする…減らすべきを増やしちゃうとかを避けるのが精一杯。
結局は、経験的な勘がとてもとても重要で、そこで得られたものをどう解釈するかって点で大きな勘違いをしないようにリクツがあるだけだったりする。

まー、一生悩んでいられるよね。楽しみ無限。

とは言え、悩んでばかりもいられないわけで、常にヒントが欲しいからネット上をうろついたりするわけだけど、
そこで重要なのは、
結局のところ、(当たり前だけど)自然環境を扱ってるんじゃないのだよね。自然のものを素材にして、極めて人工的な特殊な環境をつくっている。
それは、うちのみたいな植物の割合がやたらと多いものも動物の割合がやたらと大きいベアタンク水槽も同じ。

ってことを忘れないでおくってことだと思う。

CO2添加なんて不自然じゃんって話もたまに見かけるし、私も最初はそう思ってましたけど、
いまじゃ「だからなに?もともと全部不自然じゃん」です。

特殊な環境なのだから、そこで生まれるノウハウもすべて特殊。
環境ごとにまったく異なってくる。

硝化サイクルばかり注目され、それがあまりに重要なもののように、そこさえ見てれば良いかのように言われちゃうのは、それが魚主体の水槽の時代に、ある程度リクツが通るように解明・技術的に確立させられたからでしか無くて、自然の構造がそんなに単純なハズはない。
それは大事だけど、ごく一部でしかない。
組み合わせるピースが増えれば複雑性はいっきに増す。

性質が全く違う環境で生まれたノウハウは、参考にはなってもそのまま適応したら大失敗する可能性も高い。

例えば、大磯なら、欧州の水質なら、大食漢の魚がいっぱい入っている水槽なら、水草が少なめの水槽なら… それも正しいかもしれないっていうノウハウが、まるでソイル使った水草たっぷりの水槽にも当然適応できるみたいに書いてあるのがあるでしょ?
そういうのは真に受けちゃダメだと思うよ。
常に自分の環境と良く比較しなきゃ。
比較できないなら、「そーいうこともあるかもね情報」にしかならない。
肥料とかのパッケージに書いてある使い方も同じ。
どんな環境を想定して書かれたものなのかが分からないと間違えてしまう。

きっと全部(少なくとも一部一面は)正しいのだよ。
でも、自分の水槽に適応できるとは限らない。

あー、もう2時間近く書いてる。こういうのは書きだすときりがないね。
ちょっと仕事の連絡来るまでたらたら書き連ねよう...
なんかしてないと寝ちゃいそうだし
って書き始めたのだけど。