生態系保全のために出来る簡単なコト

うじゃうじゃといっぱい書いてますが、結局要点はこれだけです。

  • 魚などを買う時に出来ればワイルドもの...天然採集ものを選ぶのことは避けましょう。ブリードもの...養殖ものだけだって充分に楽しめます。ちょっと調べればブリードものが出回っている種類か否かは簡単にわかります。
    だいたい一般的にはワイルドものよりブリードものの方が丈夫で飼いやすいとも言えます。
  • 水槽内の掃除・フィルターの掃除・水換えなどで、水槽の水を捨てるときは、目の細かいネットを通して濾して、ちょっとした目視では見逃しちゃうような稚貝や稚エビ、トリミングクズなどを回収して、外来種を自然環境に放出しないようにしましょう。
  • 例えば、商品名:ミナミヌマエビで売られているものも、そのほとんど全てはシナヌマエビなどの外来種です。
    日本固有のヌマエビの生態を交雑などで撹乱しています。
    メダカのような在来種でも、地域ごとの遺伝的な多様性を損なう遺伝子汚染を引き起こすことになります。
    とにかくショップで買ったものを自然環境中に放出しちゃうことは避けましょう。
  • 生き物を扱う趣味ってこの手のことは何言ってもブーメランになっちゃうよな。...だからと言って開き直るのも違うと思うし。

アクアリストは、基本的には魚や水草などの生き物に・自然環境に興味がある人たちで、わざわざ積極的に自然環境破壊に加担したいとは思わない人が大勢だと思います。

 

もちろん中には水槽はインテリアだとしか思ってない人とか、生き物を簡単に捨てられるオモチャくらいにしか思ってない人も居るんでしょうけど、どう考えてもそういう人たちはこんなところを見に来るとも思えないから、少なくともここを見に来るような人は出来れば豊かな自然環境を維持したいと考えている人たちであるはずだと思います。

 

でも、生き物を扱う趣味だからこそ、自然環境と無関係ではいられなくて、結果的に生態系に大きな影響を与えちゃったりしているのですよね。

  • 熱帯魚などの原産地に強い採集圧を掛けていること。
  • 外来種の持ち込みによる地域の生態系の撹乱・破壊。帰化種問題をつくってしまうこと。

採集圧の問題は、意識的にワイルドものを避けてブリードものを選ぶしかないですよね。

もちろん購入者には分からないことも多いけれど、少なくともわざわざワイルドものって書いてあるものを買わないようにはしようとは思っています。いちおうブリードものが流通の中心になっている種類なのかどうかくらいは事前に調べています。

海外から来るものに限らず、ちょっと前まではヤマトヌマエビとかもほとんどが国内収集のワイルドもので、ブームに乗って自生地で業者が根こそぎ採集なんてことをやっていたらしいですよね。今はブリード中心らしいですけど。

 

ブリードものだって東南アジアとかでの大規模養殖とかが環境負荷をかけていることには変わりはないわけですけど、自生地で根こそぎやるよりは遥かにマシです。

まーそう考えると、なんにしても罪深いところのある趣味なのかもしれないですけど。

 

同じ種類の魚なら、一般的にはブリードものを選んだほうが良いという明快な理由もあります。

ワイルドものは、例えばアマゾンとかの遠隔地で乱暴に採集され、遠距離を運ばれてきているわけです。日本との水質の違いも大きい。ヘロヘロになって日本に来ていることも多い。

ブリードものは、多くの場合は東南アジアとかに養殖場があるわけですが、アマゾンとかと比べれば日本と水質の違いは少ないし(東南アジアの多くは軟水)、運ばれる距離も短いしってことで、ブリードものの方が健康で、水槽への導入に失敗しにくいということが多いんです。

ワイルドものでしか流通していなかったころに「導入時の難易度が高い」と言われていた魚が、ブリードものが流通し始めると「難易度が低い」と言われるようになることも多いですからね。

ハナビとか典型的な例なのではないかと思います。

 

次に、帰化種問題ですけど、ここで主に語りたいのはこっちです。

飼えなくなった魚を身近な川とかにポイするのは論外として、アクアリストが意図せず環境流出させてしまうことを防ぐために出来る事。簡単な気遣いについてです。

 

とにかくまず気にしたいのは排水口などからの流出ですね。

例えば、水槽内の掃除、水換え、フィルターの掃除などで出てくる水を排水口にジャーっと捨てちゃうこと。

私も以前はやっちゃってたんですけど、ある時によーく見てみたら、ラムズホーンの稚貝、ミナミヌマエビの稚エビなどがけっこう混じっていました。

それまでだって、いちおう稚エビとかは意識的に見て排水口には流さないで水槽に戻すようにはしていたんですよ。

でも、とてもとても小さいヤツらを見逃していたんですよね。

ラムズホーン(インドヒラマキガイ)は言うまでもないですが、ミナミヌマエビも比較的知られているようにショップで販売名:ミナミヌマエビとして売られているもののほぼ全てが実際には所謂日本固有のミナミヌマエビではなくてシナヌマエビなどであって、環境流出によって固有種のヌマエビに大きな影響を与えているわけですね。

またエビや貝だけでなくて、トリミング後に水換えをすれば捨てる水に沢山水草の切りくずが混じります。

水草もよく知られたところではアナカリスの繁殖とかが問題になっていますけど、屋外で冬越しできる水草のところでも書いたようにかなり多くのアクアリウムで使う水草は、流出させれば勝手に増えて環境を撹乱させる可能性があります。

例えば、グロッソとかも既に国内で自生していますよね。

これらはちょっとした葉クズから再生しますから、流出させないに越したことはないわけです。

 

もちろん、ほとんどの地域は下水道が整備されているので、排水口から先で川に行っちゃうって可能性は少ないわけですけど、大雨で下水道が溢れるなんてこともよくあることですからね。

どこかで自然環境中に流出させてしまう可能性はあるのではないかと思っています。

 

私は、けっこうな稚エビや稚貝を流していたかもって気がついてからは、水槽やフィルターから出る水を捨てる時には、少し大きめで目が細かいネットを通して水を捨てるようにしています。

魚を掬う...私の場合は普段はトリミングクズを掬うネットですね。

 

次に環境流出させてしまう可能性があることと言えば、トリミングで出る大量の水草ですね。

これもフツーにゴミに出していれば問題があるとは思えないのですが、念の為に乾燥させて枯らしてから燃えるゴミにだしています。

それと自家製の腐葉土を水草でつくったりもしています。

次に水槽をセットするときは使ってみるつもり。

まーこっちは気にしすぎですね。

外に捨てたりしてなきゃ...それも近くに水辺でもなければそれほど気にする必要はないでしょうね。

水草は簡単に枯れますから。

 

ただ、例えば、スイレン鉢とかは、うちの場合はベランダに置いているんですけど、ベランダの排水口は下水路ではなくて雨水路に繋がっていて、地域にもよるけれど雨水路は多くの場合、河川とかに直結なんですよね。

つまり、スイレン鉢でトリミングしたクズが流れでたものとかここから逃げ出した貝やエビは、河川に行っちゃう可能性があるわけです。

これもちょっと気づかいして、水を溢れさせない、ベランダにトリミングクズを散乱させないように... 屋外の雨水用の排水路は川に繋がっているって意識しておくことですよね。

 

飼っていた魚をポイしちゃう人についてですけど、

私は以前にこんなシーンを目にしたことがあります。

近所のホームセンターのショップでなんですが、

ケバいおねーさんが水槽を覗いて
「これカワイイ!今度はこれを飼おう!」
その連れのオジサン(もしかして旦那?)が、店員をつかまえて相談すると、今買ってるのと混泳は無理って判明。

おねーさんが残念そうな顔をしていると

そのオジサンは、「大丈夫!今のはオレが多摩川に逃してくるよ。(オレ、優しい良い人!)」みたいな顔してて

おねーさん満足!

店員唖然。

みたいな。

 

これはとんでもない例だけど、この人達はショップのようなひと目に付くところでバカなことをバカだと理解せずに言える鈍感さがあるだけで、

もっとフツーの人も「かわいそうだから逃がす」みたいなことはやっているんだろうな〜。

子どもが縁日で買ってきちゃったミドリガメが大きくなりすぎて飼えなくなって...でも、貰い手もいないし子どもの前で殺すなんて出来なくて、良くないことだって分かってても逃がしちゃう...みたいなのは、容易に想像できます。

私だって、今でこそ、引き取り手の見つけ方みたいなことも分かっているからそういうことをしない自信はあるけど、知らなかったころだと、ちょっと自信無いですね。

大抵のまともなショップなら、魚などの引き取りをやってくれるけど、そういうことはもっと周知したほうが良いですよね。

 

いちおう以前から、飼いきれなくなる可能性のある生き物を飼うのは地元採集のものだけにするとは決めてはいるんですけどね。

子どもが買ってきちゃったらねー。

たとえば、数十匹に増えたカブトムシを山に帰したこととかありますよ。...これも褒められたことじゃないですけどね。

この程度は許して欲しいなと。外国産のカブトムシじゃなくて地元のカブトムシなんだから。

 

生き物相手の趣味は、なんにせよ罪深いところがあるんですよね。

ここで書いているような気遣いのことだって、見ようによっては偽善ですよね。

「いちおう気をつけてるんだから許してね」ってことだったりもします。

 

それでも、(言い訳ですけど)生き物から距離置いている人たちよりも...たとえば虫も触れないとかって人たちよりも...なんだかんだで生き物に触れている人のほうが、自然環境への理解は持つことができるって思ってますけど。

 

まーなんでも殺さずに寿命まで飼うってのが、環境負荷を高めないことに繋がりますよね。

水槽環境の作り方が悪くて、殺しちゃって殺しちゃったことで深く反省して理解を一段深めるってのもありますけど。

いつまでもそうじゃなくて、早く理解して長く安定して飼えるようになることが大事なわけで。

...私も未だにヤマトヌマエビを本来の寿命まで飼えません。すみません。ごめんなさい。水草優先で窒素系の液肥とか使うのがいけないのだろうとは思っているのだけど... ...

 

あと、問題はアクアリウム産業の構造だよな〜。

機材売るなんて最初だけで、持続的に「消耗品」を売ることの方が大事ですからね。

でもって、魚やエビや水草なんかを「消耗品」にしちゃうことが

ショーバイを支えている面もありますよね。

もっとも「消耗」させちゃうと、殺したり・枯らしたりしていると、それでイヤになって離脱しちゃうってのも多いハズだから、消耗させるよりも、アクアリストの裾野を広げる方向で行く方が業界全体の長期的な発展のためには良いはずなんですけどね。

そうなれば...参加人口が増えれば機材更新と機材関連サプライだけでもやっていける可能性も出てきますからね。

アクアリウム業界が健全に発展してくれないと、結局、困るのはアクアリストですから。

 

少しでも魚や水草を適切に育てる・まともに管理できる知識が普及して、そのことで水槽が楽しいって思える人がもっと増えて、アクアリストが着実に増えてくれたらなって思います。

 

...もっとも日本中で、フィルター回して照明付けてヒーター・クーラー付けてってやってたら...それもすごい環境負荷になるんでしょうけどね。

 

なに言ってもこの趣味はブーメランになりますね。

 

 

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