ミクロソリウム プテロプス

属名だけで種名無しでただ「ミクロソリウム」って名前を付けられて売られているのは、ほぼプテロプスです。

シダ綱ウラボシ目ウラボシ科ヌカボシクリハラン属(ミクロソリウム属)

和名は、ミツデヘラシダ。

 

これ、初めて買った水草です。
いろいろと水草が並んでいる中で、まるで分からないなりに店員にいろいろ質問してたら「それはCO2添加しないと...」とか言われ続け、「なら、ひとまずCO2添加しないでも育てられる丈夫な水草って言ったらどれですか?」って聞いたら、幾つか候補をあげてくれたものの中の一つです。

 

初心者向け・簡単!・丈夫とか言われますけど、それならまずはアナカリスとかですよね。

たしかにミクロソリウムは、CO2無しで育つし、貧弱な弱い照明でも育つし、水質の適応範囲もかなり広い。

でも、本当に「初心者向け」って言って良いのかな〜??とも思います。

  • 割と成長が遅い。=水の浄化力が低い。=初心者がコケを付けることになりやすい。
  • 高温に弱い。28度以上が続くと弱ってくる。病気にもなりやすくなる。=クーラーなどの水温対策が必要。
  • 根本の水通しが悪くなったり・汚れたりすることに弱い。
    枯れることは無いけれど、病気が出やすくなる。
    ソイルなどに植えるというよりも、石などに活着させるのが基本。...というか初心者だとしたら、これを育てるのにソイルの栄養自体が邪魔ですね。出来るだけ貧栄養で維持したほうが良いですから。

ならば適切な環境ってどういうの?ってことですけど、これは(どんな水草でもそうですけど)自生地のイメージを掴むと分かりやすいと思います。

ミツデヘラシダ 自生」などのキーワードでGoogle画像検索してみたりしましょう。

具体的には、

  • 広く東南アジアの熱帯・亜熱帯(日本でも南西諸島)の
  • 川の上流部の(つまり水が貧栄養の)
  • 滝の周辺など常に水しぶきが掛かったり・根本に岩から染みだした水があったりするようなところの
  • 岩に活着している
  • 水中に生えていることもあるが、それも岩に活着している。
  • 日陰だったり陽があたっていたり...つまり光量はあってもなくても大丈夫。

って感じですね。

 

つまり、実際にこれを水槽内に持ち込むには、

  • 低光量・出来るだけ貧栄養の水槽。
  • 高光量の場合はライトが直接当たらないような場所
    ...貧栄養を維持できるなら光量があっても平気だけど。
    もっともプテロプスはかなり大きく...ずっと放置していれば30cm以上にもなったりするので、かなり大きい水槽じゃないと日陰の場所を選んで植えるというのも難しいけど。
  • できるだけ石や流木などに活着させる
    ...ソイルに差し込んだらダメというわけでは決してないけれど。
  • 出来れば水回りが良いこと。汚れがたまりにくい場所に植えること。

が良いだろうということになりますね。

初心者が最初に選ぶような水槽機材で育てられるのは事実だし、基本的に丈夫ではあるけれど、最初からこれを選ぶのが本当に適切なのかと言えば、少しは水が出来てからのほうが良いんじゃないの?って言いたくなるようなものだってことですね。
いちばん最初はもっと貪欲に水の栄養を吸収してくれる水草の方が良いですよ。やっぱり。

 

 

これの増え方・増やし方は以下の3パターンです。

  • 茎が横に伸びていき、そこから新しい葉と根(活着根)を出すので、これを切り離して別の場所にまた活着させる。
  • 葉裏に黒っぽいツブツブ(胞子のう)を付ける。ここから子株が芽吹く。
  • 葉から直接不定芽が出てくる。特に葉を傷つけると出やすくなる。...ウォーターローンの葉の途中から葉が出てくるような感じ。

茶色い活着根が出ている葉を石にくくりつけたりするのが基本とは言え、例えばトリミング中に間違って切っちゃった葉切れを石の間に差し込んでおいたりするだけでも、そこから新しい葉と活着根を出して来ますよ。

 

そうそう、「活着」ですけど、フツーはビニタイとかでやるわけですよね。木綿糸って手もあるけどモスとかよりも活着に時間がかかるし...。ビニタイとかイヤじゃないですか?

これ、瞬間接着剤で付けちゃえば良いんですよね。

付けたい石とか流木とかを取り出してやらないと上手く出来ない(水中だと使えない手)のが欠点ですけど、セット時か石とかの取り出しが出来る時ならイチバン簡単でキレイです。

瞬間接着剤は、そもそも手術用にも使ったりするくらいなので、生体へのダメージも深刻なことはないから、ダイジョーブ。

石と活着根の部分の両方の水気を切って、チョビ、チョビっと瞬着を付けて、くっつける。チョビっと数カ所ってのがポイントです。

ちょっと待って少しは着いたら水に入れちゃって大丈夫です。

 

 

最後に、全くの初心者が使うことも多い水草なので誤解されやすい点について幾つか。

  • 前のところでも書いてますけど、葉裏に付く茶色いツブツブは胞子のうです。決して虫の卵などではありません。
    ...うちの奥さんはマジでビビってた。
  • 茶色い根が胞子のうから出てきたりすることがありますが、これは活着根としての機能しかないので、気になるなら切っちゃっても大丈夫です。
  • 葉の先端が、透明な緑色になることがありますが、これは健全な状態です。
    シダ病の説明で「葉が透明になって...」みたいなのがあって勘違いしちゃう人も居ますが(最初にこの状態を見た私もそうでした)、病気で透明になるのは茶色・黒っぽい感じで痛み始めてからです。「シダ病」で画像検索してみると良いと思います。
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