バクテリア都市としてのバイオフィルム
バイオフィルムについては、硝化バクテリアのところでけっこう書いちゃってるので、重複も多くなるかもしれませんが許してください。
バクテリアが集まってEPS(ヌルヌル・プルプル成分)を出して膜上になったものがバイオフィルム(菌膜)なわけですけど、
要点だけおさらいすると、硝化バクテリアがバイオフィルムをつくる状態になると...
- バクテリアの密度があがる...全体としての窒素処理力が格段に向上する。
- pH変動などの水質変化全般に格段に強くなる。
フィルターのメンテナンスで濾材バスケットを取り出している時とかの乾燥にも強くなる。 -
水がピカピカ・キラキラになる。
何故かと言うと、水中の微粒子をバイオフィルムのネバネバが捉えるから。
良いことだらけですよね。
だから、生物濾材の清掃は、そっと水槽水で揺すって大きなゴミを落とすくらいで良いわけですね。
ゴシゴシやったりしちゃダメなわけです。
このバイオフィルムなんですが、いろいろと面白いんですよ。
バイオフィルムが出来ると水質変化に強くなる...ってことは、EPSはバクテリアにとっての服とか家とか外界の変化の影響を緩和してくれるようなものなのか!ってイメージできますよね。
ところが、たんなる家というよりは、共同生活のためのインフラ構造が出来るんですね。具体的には水路に相当するものが。
これが栄養や酸素を奥まで運ぶ経路になるので、バクテリアが密集できるんだそうです。
それから、その生活者全体でのコミュニケーションのしくみもあります。個々のバクテリアが出すクオルモンの密度によって適切な個体数だったり、産生する物質を変えたりします。
クオルモンって、体内で働くホルモン、同種の個体間で働くフェロモンと同じような情報伝達のための化学物質ですね。
quorumって議会で議決に必要な数って意味らしいです。
上手いネーミングですね。
つまり、全体を調整するコミュニケーションネットワークのしくみもあるわけです。
ここまで書くと、バクテリアの都市ってイメージも大げさじゃないでしょ?
さらに、バイオフィルムという都市の中は、国際都市さながら多人種都市のイメージもあります。
亜硝酸菌、硝酸菌などが共生しているだけでなくて、厚みがついてくると底の方は嫌気環境になるので、脱窒菌も生活するようになります。
さらに藻類や原生動物などもいろいろ入り混じって、複雑な関係性を構築するらしいです。
濾材の上だけ見てもこんなことが起きているなんて、水槽は宇宙ですな...なんちゃって。 (・ω<)