水草用液肥(カリウム主体)の使用
何度も書いているけど、液肥の使用は難しい面が幾つもある。
理由は単純で、極めて即効性が高くて分量を間違えるといろいろと問題が起きるということ。
また即効性ということは、長期間にわたって効かない。=マメに...理想的には毎日添加しないとならないので、面倒だと言うのもある。
たまに添加すると、殆どの水草用につくられた液肥はカリばかりなので、pHをかなり上昇させる。
もちろん液肥には液肥の良さもある。
ひとつは水槽水に完全に溶かすので、過剰に添加してしまっても問題に気付くのが早ければ、水換えで排出・調整できるということ。
もうひとつは、底床内に埋め込む肥料と違って、ソイルを痛めずに済むということ。
水草・アクアリウム用に売られている液肥は、その殆が窒素、リンを全く含まない。
例えば、代表的なものとしてテトラのフローラプライドの場合は、窒素-リン-カリのNPK比が 0-0-3 で、これにさらに微量必須元素などを加えたものなので、実態としてはカリ溶液だ。
ちなみにセラのフロレナも似たようなもので、NPKは0-0-2.87。
...本当は国産の水草用液肥も使ってみたいのだけど、内容が分からないと恐ろしくて使えないのだよね。いろいろと組み合わせて使うので何かが特に過剰になったりするのが怖いからね。
窒素・リンを含まないのは、これらはエサから供給されるが、カリはエサからはほとんど供給されないばかりか、水換えで排出されやすいので、水槽ではカリだけが不足するという古典的な考え方に基づいている。
実際にカリが最も失われやすく大量に必要となる元素なのだけれど、
水草水槽は、強力なライト、CO2添加、少ない魚の量...と、エサの投入が少ない上に水草の成長の背中を押す環境が揃っているので、
窒素もかなり不足してしまうのだけれど...
だから、水草・アクア用と言っている液肥は、あくまでも「カリの不足を補うために添加するもの」と理解したほうが良い。
窒素・リンの不足には、また別に対応する必要がある。
カリ不足については詳しくは、必須元素別の理解のところなどを見て欲しいのだけど、大雑把に言えば、
- 根本に近い方の葉が先端や周縁部から白っぽく色が抜けてくる。さらに、白くなった葉に黒い点が出来るように壊死するところが現れ、穴になったりする。
- 葉が縮れたりうねったりする。
- 茎や葉脈が(本来そういう種類ではないのに)赤っぽくなる。
こんな症状が出ていれば、カリ不足だ。
カリは、植物体内での移動が素早く行われるので、
全体としては水草がよく成長しているように見えるのに(だからこそ)旧葉部が著しいカリ不足になっているということはよくある。
- 窒素やリンなどが必要なだけあるので、成長する。
- カリが成長に足りなくなるので、旧葉部を捨てても成長点にカリを回す。
というわけ。
実際の使い方だが、カリは水換えなどでとにかく流出しやすいので、使うのであれば少なくとも水換え毎に添加したほうが良い。
使う量は、カリ不足の症状が出ているのであれば、
0-0-3の液肥を、陽性水草がいっぱいに茂っていてる60cm水槽で、1日あたり0.5〜1ml程度ずつ添加していって、水草の状況を見ながら徐々に増やしていったり、添加を中止したりして調整していく。
*カリ添加の推奨値は、水草関連の専門企業・ショップでもかなりの開きがあります。後述。
例えば、赤くなった茎や葉脈は色が改善したりすることがあるが、一度真っ白になってしまった葉は緑色に回復したりしない。
白くなる症状は下から上へと広がるので、その症状が広がるのか止るのかで判断する。
今まで綺麗な緑色だった葉の先や縁が白くなり始める部分が出てくるようであればカリが足りないということになる。
なんにしても、かなりめんどくさいですよね。
カリ供給が必要なら、イニシャルスティックで良いと思うのですけどね。
そうそう、実態としてはカリ溶液なわけなので、炭酸カリウムを買ってきて水で溶かして3%溶液くらいにして使えば、水草用に売られている液肥の値段がバカバカしくなるくらい安くつくれる。
チャームでも炭酸カリウムは売ってるしね。
この場合に気をつけなくてはいけないのは、濃いカリウム溶液はかなり強いアルカリなので、手についたり目に入ったりするとかなりヤバイので気をつけて取り扱わなければならないということ。皮膚が溶けますよ。
それと、フローラプライドとかは、カリだけが入っているわけではなくてマグネシウムやマンガンなどの微量元素も入っているはずです。
他の肥料で微量元素は押さえていて、カリの追加調整を行うためなら、単純な炭酸カリウム溶液でも良いでしょうけど、
窒素・リンは足りているので、追加の肥料は液肥だけというのであれば、やっぱり水草用につくられたものを使うのはアリだと思いますよ。
いちおう0-0-3液の自作の仕方を説明しておきます。
- 炭酸カリウムを買ってくる。
- 容量500mlのペットボトルを用意する。
- 炭酸カリウム25gをペットボトルに入れる。
- 一度沸騰させて冷ました水をボトル一杯に入れる。
最後にこういったカリ液肥を使い過ぎるとどうなるか?ですが、イニシャルスティックのところなどでも書いたと思いますけど、
カリの過剰症というのは殆どありません。
但し、カリウムは、カルシウムやマグネシウムなどと拮抗関係にあるので、カリウム過剰はこれらが不足する症状として現れます。
- 頂芽が縮れる。
- 根が弱る...カリは根を強化すると言われていますが、カリ過剰でカルシウム不足になると結果的に根が弱ります。
- 新芽の出が悪くなる。
- 成長点が白っぽくなる。あるいは濃い緑色になって縮れる。
- 根が弱くなる。
- 旧葉が葉脈を残して黄色くなる。(窒素不足の時とは違って斑っぽくなる)
こういう状態が観察できたら、カリ過剰かカルシウム(石灰)、マグネシウム(苦土)不足を疑ったほうが良いでしょう。
つまり、GH低めの水槽では、カリの過剰添加になりやすい。逆にGH高めならカリ過剰添加にはなりにくいということです。
このあたりも意識してみてください。
カリの過剰症が出た時は、なんにしてもまずはカリ添加はいったん中止したほうが良いですね。水草はカリウムを食い溜めできますから。
食い溜め:正確に言うと、古い葉などの重要性が低い部位から成長点などへカリウムを移送できるということです。カルシウムは細胞壁などに使われるのでこれがほとんど出来ないので欠乏症がスグに出てきてしまいます。
つまり、カリ添加の中止はそれはそれで旧葉部を痛めることにはなるんですけど、それでもカルシウム不足などへの対処を優先したほうが良いということです。カリウムがカルシウムなどと比べて多い...比率の問題(塩基バランス)ですね...と、水草はカルシウムなどを吸収できなくなりますから。
その上で、積極的にCaMgを添加して塩基バランスを取り直す必要があります。
*:
カリウム添加の推奨値...というか、基準値ですね。どのくらいの添加量から始めるかですが、これについては、この分野の専門企業・ショップでもかなり開きがあります。
例えば、A社さんは、0-0-6相当液を、60cm規格水槽で1日あたり2ml添加から始めろと言っていますし、W社さんは3mlからと言っています。
先ほど、私が基準値として書いたのは、0-0-3の場合ですから、
例えば、W社さんの場合だと、私の基準の12倍!入れろと言っているということになります。
ちなみにもうひとつ別のA社さん...先のA社さんより遥かにずっと有名なところは、おそらく(海外の情報サイトからの数字なので本当か否か分かりませんが)0-0-7を毎日1mlを推奨している...と思います。
もちろんこういうのは、GHを上げやすい石が入っているか否かなどの水槽環境の違い、水換え頻度や量などどういう管理をしているかということの差が非常に大きいので、なんとも言えません。
ただ、カリウム過剰にも気をつけたほうが良いとは思います。
継続的なカリウム投与量の目安
上の方で、「カリウム投与量の目安は、各社かなり開きがありますね〜。でもカリウム過剰は気をつけてね」って終わらせちゃったけど、それじゃーお前は何を目安にどの程度やっているのか?ってなりますよね。
ということで、私の判断基準のようなものを書いておきます。
これがリクツとして正しいのかどうかは確信が持てないけど、実際に私はこうやってやっているっていう話です。
ひとことで言っちゃうと、pH変化を目安にしています。
カリウム液肥はかなり強いアルカリで、投与するとスグにpHが上がります。
もしカリウム投与をして居なければ、pHが持続的に上昇・または低下するような水槽環境でなくて、ある程度安定している水槽であれば、
一度カリウム投与であがったpHは、水草がカリウムを使っただけ元に戻るはずです。...と考えて、
通常のpHを予め計っておいて、
適当に少なめに0-0-3を例えば2mmとか投与して、翌日pHを測ります。前に計ったpHより上がっているハズですよね。
その後毎日pHを図っていると、本来安定した水槽ならpHは下がっていきます。
元のpHに戻るまでに、例えば、3日掛かったとしますよね。
ってことは、3日で2mm前後、1週間で5mm弱前後が適量だと判断するわけです。
もちろんpHは、CO2添加などをしていれば時間帯で変化しますから、ある程度は決まった時間帯に測定しないとダメですよね。
それから、これは試薬で測定するのはキツイですね。
やっぱりpH測定器が必要ですね。
もちろん、ソイルの陽イオン交換でpHが引き戻されるとかってのもいろいろ考えられるわけで、この考え方がリクツとして正しいかどうかは別ですよ。
でも、やり方としてはそこそこ現実的ではあると思います。
陽性の水草が大量に茂る水槽では、カリウムはどんどん消費されていくので、持続的に供給していく必要があるし、
かと言って、pHを上げ過ぎるのはいろいろと不具合が出てくるわけで、
「pHを上げ過ぎない範囲で、カリウムを入れ続ける」って考えると、結果的にこんなやり方になるわけです。
このやり方で得られるのは、あくまでも最初の基準にする目安であって、実際の水草の様子を観察しながら調整していくわけですし、トリミング後は少なめ・あるいは見送りとか、よく茂っている時は多めとかって調整もするわけですね。
草木灰を使った液肥
ゴミ箱へ移動させました。
匿名 (月曜日, 15 12月 2014 21:34)
訂正 99%
匿名 (月曜日, 15 12月 2014 21:33)
なるほど。
99.9%なのは炭酸カリウムでしたね。
考え無しに「3%じゃん」なんて考えて薄めたら大違いになるところでした。
rotala (日曜日, 14 12月 2014 23:12)
過去に調べた時の記録が残ってました。
炭酸カリウム中のカリウムは質量比で57%でした。
つまり、25g中のカリウムは、14.25gです。
これに水を注いで500gにするようにすると、
カリウムは、2.85%ってことになります。
rotala (日曜日, 14 12月 2014 22:31)
炭酸カリウム5%になります。
でも、炭酸カリウムはK2CO3です。
K2:CO3の質量比は、3:2くらいになるはずだったと思います。...ずっとまえに調べて計算して結果だけ覚えているって状態なので詳しく説明しろって言われてもスグには答えられないですけど。
なので、有効成分=カリウム分は3%程度になるはずです。
匿名 (日曜日, 14 12月 2014 22:19)
水500mlに炭カリ25gだと5%な気がしますが
私が勘違いしているでしょうか。
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