緑藻・アオミドロ
2014.10.8に書きなおしました。
緑色のコケ全般ですね。
単細胞で群落をつくって、水槽のガラス面にフワフワついたり、がっしりベッタリ付いたりってのもありますし、
固着点を持っていてツンツンと短い糸状に生えるものもあります。
さらにアオミドロなんかも広義には緑藻ですね。
これらは、もちろんかなり広範囲な生物を含んでいますけど、それでも纏めて緑藻です。珪藻(茶ゴケ)や紅藻(黒ヒゲなど)と比べれば、遥かに水草に近い集団です。
緑藻も水草も共に緑色植物亜界に属しています。
系統的に近いということは、大雑把にみれば、水草に良いことは緑藻にも良く、水草に悪いことは緑藻にも悪い…ってことになります。
例えば、光の波長毎の使い方や栄養素の要求なんかも割とよく似ている。
だから、水草水槽として安定すると出てくるってこともわけです。
しかし、もちろん違いはあります。
この水草と緑藻の違いが、緑藻対策の考え方のヒントになりますね。
- 水草は根によって底床からも栄養を取れる。緑藻は水からだけ。
- 緑藻の方が多くの水草よりも高めのpH...弱アルカリ環境に強い。緑藻の方が水草よりもHCO3の利用が得意。水草はCO2を優先利用するものが…HCO3の利用が苦手なものが多い。
- 水草の方が緑藻よりも多くのカリウムを要求する。緑藻は水草にしてみたらかなりカリ不足気味の状態でも育ってしまう。特に水中の窒素量が多めだと緑藻が有利になる。
これらを踏まえて、緑藻対策の基本戦略は、
とにかく水草に有利な条件をつくり、緑藻に対して「圧倒的に」水草を成長させること
です。
水草と緑藻が割と近いニッチを奪い合うのですから、水草有利・水草の方が圧倒的に成長量が多いって状態を維持すれば、緑藻を牽制できるわけですね。
具体的な対策としては、
- 水草に付着した緑藻が酷いところは大胆にカット。とにかく緑藻の絶対量をまず減らす。
- 次に大量の腹をすかせた買ってきたばかりのヤマトヌマエビなどを投入。とにかく食わせ切って一度綺麗にしてしまう。状況にもよるが30匹くらいいっぺんに入れると効果的。
- ハイグロやロタラのような成長力のある有茎草を出来るだけ増やす・伸ばす。なんなら大量に買ってきて大量に植える
- カリウム肥料を入れて、窒素などを消費しやすい状態に肥料バランスを取る。出来ればイニシャルスティックなどの底床用で生物分解で効いてくるものが良い。水中の養分バランスについてある程度理解している人ならカリウム液肥でも良いけど。
- CO2添加量を多めにするなどして、pHを6.5以下にしておく。ただし下げ過ぎはエビ、貝、底床微生物、硝化バクテリアなどにあまり良くないのでほどほどに。下げるにしてもいっきに下げすぎない。下限6くらいにしておく。もちろんこれは入れている水草や魚などによる。弱アルカリ好きのものを入れている時にこういうことをしちゃー当然ダメですよね。
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とにかく全体的に適切にバランスを取って水草の成長を促す。
あまり焦って短期間で結果を出そうとしないで、じっくり取り組みましょう。
上記の6.に関連する注意点ですが、
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窒素などの水中の栄養分を減らそうとして水換えや掃除をし過ぎると、かえって底床微生物などにダメージを与えて緑藻を勢いづかせることもあります。
底床微生物は分解者であるだけでなくて窒素などの消費者ですから。
NO3などがかなり検出できるようなあまりに酷い状況ならともかく、水換え・底床掃除・フィルター掃除などはほどほどに。
これらを行う必要がある時でも、いっきにとことんやったりしないこと。少しずつマメに行うこと。
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よく光量や照射時間を絞れとか書いてありますが、(もともとのバランスとして光量過多なら別だが、そうでなくて植えている水草に対して適切な光量であるなら)むやみに光量を絞ったりしない方が良いと思います。
光量を絞れば、もう本当に確実に緑藻が減りますが、同時に水草も弱るので、光量を元に戻したらかえって酷くなります。…緑藻の方が立ち上がりが早いので。
もし、あまりに酷くて遮光に近いことも行いたいのであれば、後景の有茎草…ロタラなどを伸ばし放題にして、水面を這わせ水面を覆ってしまうという手もあります。…前景草がダメになってくるし、いずれトリミングしなければならないから、光量絞るのと同じことになるけど、少なくともそれまでは有茎草が養分吸収し続けてくれるのは大きいですよ。
最後に、「緑藻もまるで出ない水槽」ってのはかえって不健康ですよね。水の栄養がなさ過ぎです。そんなだと水から栄養を取る割合も大きい有茎草とかは著しく育ちが悪くなっちゃいます。
私としては、1ヶ月経つとガラス面に擦れば取れる緑藻がうっすら付くってくらいが理想的だと思ってます。
質の悪い繊維質が強くてツンツンと産毛みたいに生えるヤツはイヤですよね~。かなりしつこいし。でも、あれもあるとき突然消えていくんですよね。
私があれ(冒頭の写真のですね)を出しちゃったのは、それまで安定しきっていた水槽なのに、完全にボケてて底床環境をぶち壊した時です。
底床供給器を使って肥料を底床最奥に入れてたんだけど、ボケてpHがかなり低いものを連続して入れちゃったんですよ。
分厚くなっていた前景草の底の方に這っていたニューラージパールグラスとかいっきに痛めちゃって。
目には見えていないけど、底床微生物もけっこうやられたでしょうね。
カイミジンコとか見なくなったし。
こうなっちゃうと再立ち上げに近い感じになるというか、底床内の汚れが溜まってる分、むしろ酷い状況になるというか。
まー気をつけましょう。
追記。
ガラス面に出る柔らか目の緑藻や斑点状に出る硬い緑藻などは水流が当たるところによく出るように水流が好きですが、
最初に写真を載せたような毛羽立った繊維状の緑藻は、アオミドロと同じように比較的強い水流は苦手のようです。
2013.10
アオミドロについて
さらにやっかいなのは、やっぱりアオミドロでしょうね。
こいつはさらに通常の水草に近いから。
昨年は、ほんとこいつに苦労しました。
スイレン鉢から持ち込んじゃったんだよね。
ほんのちょっとなら大丈夫って放置してたら、気がつけば爆殖。
いっくら取っても翌日には底床面を覆うくらいに増えていて。
一時は、もう最終手段のつもりで、完全遮光1週間以上ってのもやってみたのだけど、確かに激減したけど、光を入れたらまたアッという間に増えちゃいました。しかも水草弱ってるから、前より増え方が酷いくらいで。ついでにグロッソとかみんなもやしみたいに立ち上がっちゃうし。サイアクでしたね。完全遮光なんてやるんじゃなかった。
グロッソ以外もみんな草姿がダメになるし。
改善のきっかけは、「もしかしたら水流に弱いのじゃないか?」っていうアドバイスをもらって、「確かに流水でアオミドロって殆ど見ないですね。ほぼ止水ばっかりだ」っってことで、思いっきり水流を強くしてアオミドロに当てるようにしたら、増えなくなって、なんとか危機脱出。
増えなくなれば、後は地道に取るだけですから。
アオミドロもいろいろなので、これがいつでも効くかどうかは分かりませんが、少なくともウチでは水流が解決してくれました。
ちなみに、ウチではびこったアオミドロは、かなり強固に硬い深い鮮やかな緑のものでした。鮮やかな緑色の絹糸の束って感じで、見ようによってはけっこう綺麗でしたよ。
スイレン鉢で、春がやってきて最初に出てくる柔らかくて薄い緑色のじゃなくて、もっと出るとしたら後になって出てくるヤツですね。
ちなみにアオミドロは、もちろんエビもよく食べるのだけど、ウチではベックホルディがよく食べてましたね。
長いアオミドロをチュルチュル食べてて、お尻からも未消化の糸が長く出ているっていう画を何度も見ました。
もちろん、ベックホルディがいくら食べても当時は殆ど何の意味もないっていうくらいアオミドロの増殖力が勝っていたのだけど、予防って点では少しは役に立つ可能性もありますよね。
もっとも、アオミドロが増殖を始める前からベックホルディは水槽内に居たのだけどね。…役に立ってないか。
そうそう、うちのスイレン鉢も、今年は水温がなかなか上がらなくて水草の成長が遅れがちだったけど、このところどんどん成長してきたので、かなり多かったアオミドロも水草に負けてどんどん減っています。
というか、手作業で排除しているのだけどね。
でも、以前なら排除しても1日で元に戻ってのに、今は取れば取っただけ減るって状態になってます。
そのうちにもっと水草が元気になれば消えちゃうハズ。
管理人 (日曜日, 04 3月 2018 12:50)
高橋さんこんにちは。
クレソンですか。良いですね。屋内ですか?屋外ですか?
コケは...特に緑藻類は、土壌、肥料、その他環境の履歴などがわからないとなんとも言えないです。...それが分かったからって決定打を単純明快に言えるってこともないですけど。
もし屋外なら、これから暖かくなってクレソンの成長が加速していくと自然に消えていくってこともあると思いますよ。
水槽とかビオとかなら別ですけど、もしクレソンを栽培すること自体が目的ならクレソンは土壌に充分に湿り気があれば大丈夫なんで、その程度に水を抜いちゃって完全に水上栽培にしちゃうとか。
高橋 (日曜日, 04 3月 2018 11:49)
クレソン栽培してますがアオミドロ繁殖して困っております。対策方法は