CO2添加量の調整
CO2をどの程度添加すれば良いのか?
参考値はいろいろなところに出てますよね。
「60cm水槽では1秒1滴」とか。
あれはあくまでも「ひとまず目安を示しておこう。出来れば事故を起こさないようなレベルで。」ってことです。
実際にどのくらいが適正値なのかは、水草の種類や量、光量、pH、KH、添加方法、水温などで変わってきます。
そんなこと言い出しても混乱する人ばっかりになっちゃうから、乱暴にでも参考値を出しておけってだけですね。
そもそも「1滴」のサイズはカウンターによってけっこう違いますから、ものすごく大雑把な目安なんです。
ひとまずは水中のCO2濃度が「高くなり過ぎない」...つまりエビなどに問題が出ない範囲にしましょうってことですね。
目安になる値は、
CO2濃度が最も高くなる時間帯:
もし仮に水草が使えないくらいのCO2を添加しているとしたら、添加終了時間が目安になりますが、
おおよそ35mg/l を超えないようにする
ってくらいを意識しておけばひとまず大丈夫です。
水草が添加したそばから使い切ってしまうような状況なら、そもそも過小なのだから、多すぎる問題にはなり得ないですね。
だから、なんにしても測定するのは添加終了時が目安です。
CO2濃度は、pHとKHが分かれば分かります。
Googleで「CO2 pH KH」ってキーワードで画像検索でもすれば幾らでもCO2濃度を求める表が出てきます。
例えば、pHが6.5でKHが2なら、20mg/l ...適正値ですね。
CO2は、見ようによっては「肥料」の一つですけど、殆どの水草は、ちょっとくらい添加量が多めでも調子を崩すということはありません。少し多めくらいの方が調子が良いです。
ただ、あまりに多いとエビなどがヤバイってだけじゃなくて、水草の草姿なども狂ってきます。妙に間延びしたようになったり、軟弱化したりします。
CO2が少なめだと何が起きるかというと、水草が育たない:勢いを無くすとコケが付きやすくなるなんてことだけでなく、KHの低下にもつながります。これはここのKHの項目を見て下さい。
CO2添加は前にも書いたように施肥と同じで、光量、他の栄養とのバランスが大事です。
特にCO2は光合成のための原料なのですから光量との関係は重要です。
知り合いのところの水槽とかで、「これしか光量がないのに、こんなにCO2添加しててもったいない!っていうか良いことない。」なんてのを見たりすると
CO2添加を減らすか、光量を増やすかどっちかにしようよってつい思っちゃいます。
そこの場合は、そもそも陽性の水草中心だったから、明らかに光量を上げるべきだったんですけどね。
添加量の調整のし易さや添加効率の向上などについてのCO2添加機材の話はこちらを参考にしてみてください。
追記。
CO2の濃度計算ですけど、Excelなどを使って、簡単に計算できるようにしておくと便利ですよね。
こんな感じで
A | B | C | |
1 | KH(dH) | pH | CO2 mg/l |
2 | =A2*10^-B2*3.72*10^7 |
=A2*10^-B2*3.72*10^7
って式を適当なセルにコピペして、
A2のセルにKHの測定結果を入力。
B2のセルにpHの測定結果を入力。
だけですね。簡単。
追記。
いちおう早見表も置いておきます。
私が普段使いそうな範囲だけですけど。
pH KH |
5.8 | 5.9 | 6.0 | 6.1 | 6.2 | 6.3 | 6.4 | 6.5 | 6.6 | 6.7 | 6.8 | 6.9 | 7.0 | 7.1 |
0.5 | 30 | 23 | 19 | 15 | 12 | 9 | 7 | 6 | ||||||
1.0 | 59 | 47 | 30 | 24 | 19 | 16 | 12 | 10 | 8 | 6 | 5 | |||
1.5 | 59 | 44 | 35 |
28 |
22 |
18 |
14 | 11 | 9 | 7 | 6 | |||
2.0 | 48 | 38 | 31 | 24 | 19 | 16 | 12 | 10 | 8 | 6 | 5 | |||
3.0 | 57 | 46 | 36 | 29 | 23 | 18 | 15 | 12 | 9 | 8 | ||||
4.0 | 61 | 48 | 38 | 31 | 24 | 20 | 16 | 12 | 10 | |||||
5.0 | 60 | 48 | 38 | 30 | 24 | 19 | 15 | 12 |
緑の範囲あたりを適正値と考えています。
あくまでもCO2濃度って観点でですけど。
...6を切るような低pHは、多くの場合 適切とは言えないと思いますから。
追記。
殆ど上記の内容の言い換えですが、CO2を水中に添加してもCO2のままどれだけ溶けていられるか、HCO3になってしまうかというのはpHで決まります。(正しくは、pHによってCO2とHCO3の割合は一定になります)
コケはほとんど皆HCO3を光合成の炭素源として使うことが得意なんですけど、水草は種類によってはHCO3を使うことが苦手だったりします。...というか、水草水槽に使われる水草の多くのものがHCO3を使うのが比較的苦手だったります。特に「弱酸性を維持することが必須。アルカリ寄りにしたらダメ。なんて言われている水草は、HCO3を殆ど扱えないくらいに思っておいたほうが良いです。アマゾン産の水草とかはかなりの割合でそうですよね。
つまり、見方を変えると、こういう水草を育てている時に、pHが高かったら、殆どCO2を添加できていないのも同然ということになります。...というか、もっとCO2添加をしていけばpHを下げられるわけですけど。
半分がHCO3になっているのがpH6.37。
pH7だと約8割がHCO3になります。
pH6だと逆に約7割がCO2のまま溶けていられます。
HCO3の扱いが極めて苦手か使えない水草にとっては、pH7だと8割が無駄になっているということですね。
ただ無駄になっているならまだ良いですけど、その8割はコケの成長を応援しているようなものですよね。
結局何が言いたいかというと、育てている水草の種類がHCO3を使うのが得意なのか苦手なのか?(≒アルカリ寄りの水質でも育つと言われているのか否か?...弱アルカリでもよく育つ水草ってのはHCO3の利用が比較的得意ということです。)ってのも合わせて考えたほうが良いですねということです。
まーリクツであって、このあたりは実際の管理場面ではpHを意識することになるわけですけど。
追記。
書き忘れてましたが、CO2濃度は水槽内で偏在しがちです。
水槽内で泡を出すディフューザーを使っていれば、その周辺とそこから水流が流れていくあたりの濃度が高いし、
外部フィルターのパイプに直添している場合は、水流が最初に当たるあたりがCO2濃度が高くなります。...もっともこの場合は、よく水を回していれば水槽内のディフューザーを使う場合と比べて極端には偏在しませんが。
なんにせよ水流の調整が重要です。
水草が使い残すCO2が多い場合:添加終了時のCO2濃度が適正値内だとしても上限に近い場合は、夜間のエアレーションをして積極的にCO2を追い出した方が良いです。
追記。
もう少し具体的に調整について。
例えば、KHを計ったら、2だったとします。
KHはそんなに激しく動かないので、この値をしばらく使います。
KHが2ってことは、先ほどのKHとpHとCO2濃度の関係表を見てみると、pHは6.3くらいから6.6あたりの間に納めたいですよね。
ひとまずpH6.4目標 CO2濃度24mg/lってことにしましょう。
添加開始時、数時間後、添加終了時のpHを計って、数時間後〜添加終了時が目標の値あたりになってれば良いわけです。
もし目標値よりpHが高ければ、翌日はちょっと添加量を増やしてみる。低ければ、減らしてみる。
こうやって調整していけば良いわけですね。
頻繁に0.1単位でpHを測定するとなると、やっぱり試薬じゃなくて電子式のpH測定器が欲しいですよね。
最近は試薬と変わらない値段でちゃんと使えるものがありますよ。
KHの方はほぼ試薬で計るしかないですけど、低めの場合は0.5単位で計ったほうが良いですよね。
テトラの試薬とかの場合、5mmlの水槽水を入れて試薬を何滴入れたら色が変わるかって1dKH単位で計るわけですが、
10mmlの水槽水を入れてやれば、0.5単位で計れますよね。
3滴で色が変わったら、1.5dKHだなって。
そうそう、目標値とか言ったって、どのくらいが適切か分からないってのもありますね。
私はやっぱり水草の調子を見ます。
CO2の濃度を少し高めて、水草がちょっと成長するくらいまで待って観察する。
例えば、それまで水回りなどの条件が少し悪いところにあったブリクサの葉色がイマイチだったのが、添加量をあげたらパッと明るく輝く葉色になってきた...なら、そこが丁度良い値って捉えるわけです。
ロタラインディカの赤みとかもCO2濃度の影響を強く受けるわけですが、適切な値になればより赤くなるわけですね。
管理人 (土曜日, 06 5月 2017 23:52)
>ストレーナにCO2添加は
情報ありがとうございます。
リクツとしては問題ないはずですよね。
やってみよっと。
匿名 (金曜日, 05 5月 2017 18:02)
ストレーナにCO2添加は近所の店でもやってるの見ましたよ
管理人 (木曜日, 31 3月 2016 02:25)
もりぞうさん。ありがとうございます。
ちょっと私の書き方が悪かったのかもしれませんが、誤解があったようです。
コケはCO2を使えます。ただ多くの水草...特に元は湿地性の水草と違ってHCO3を使うこと"も"得意ってことです。
つまり、pHが適性で溶けたCO2がHCO3になる割合が少なければ、それだけ水草に"不利"にはならない。ってことですね。
もりぞう (水曜日, 30 3月 2016 13:31)
こんにちは!
metabolismさん(お名前はこちらで良かったでしょうか?)の記事、とても勉強になります。このページの内容を、youtubeで紹介させていただきました。ありがとうございました。